探針(プローブ)と試料表面との間に働く微弱な力を高感度・高精度に制御できる原子間力顕微鏡を開発し、絶縁体表面上で安定かつ再現性のある原子操作に成功した(2014年の Nature communications に掲載)
絶縁性の表面上に新ナノ構造体を構築し、その物性を探索することにより、ナノスケールの新たな機能発現機構を見いだせると期待される。この成果は、2014年の Nature communications に掲載された。
本研究で用いた原子間力顕微鏡は、極低温・超高真空環境・強磁場という極限環境で動作する。極低温環境では、カンチレバー(センサー)の熱振動が抑えられ、高感度な力測定が可能となる。また、顕微鏡本体の熱ドリフトが抑えられ、測定位置を原子レベルで固定できる。そのため、探針と試料表面との間に働く微弱な力を高感度・高精度に制御できる。
原子分子操作には、一般に垂直方向の原子分子操作は探針の変化に伴い、イメージングのコントラストの変化を起こす。この研究では、コントラストの変化を起せず、極低温の環境でのp(2x1)Cu(110)-O表面上でのsuper-Cuの引き抜き、埋め込み両方の垂直方向原子操作が報告された。探針の高さの関数としてエネルギー障壁を得るためのDFT計算と探針の力学と原子操作での引き抜きの統計値を調べるためのKinetic Monte Carlo 法を使用して理論的に説明された。このモデルは探針から/へのsuper-Cu原子の活性化jumpと探針の引き抜きと埋め込みを結びつける多層ステップの原子操作メカニズムを明らかにする。絶縁性の表面上に新ナノ構造体を構築し、その新規な物性を探索することにより、ナノスケールの新たな機能発現機構を見いだせると期待される。また、新しいフォース分光法を開発し、力学的な原子操作の機構を解明することに成功した。DOI: 10.1038/ncomms5476。